病害虫・雑草防除ガイド - 農作業の安全講座
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ドリフト、散布について

今、農作物への配慮が求められています。

残留農薬基準の『ポジティブリスト制』の導入により、農薬散布の際のドリフト(飛散)については、近接作物、周辺作物への思いがけない飛散による農薬残留が懸念され、また住宅地域、学校、公園などの公共施設内外での飛散対策にも最大限の注意を払うよう、一層の飛散防止対策が求められています。

農薬取締法に基づく農薬使用基準の遵守徹底のみならず、これまで以上に気をつけなくてはいけないのは、飛散防止対策でしょう。

NSH剤の飛散防止対策の基本は、
飛散軽減ノズルと飛散防止カバーの積極使用の励行です。

非選択性の接触型雑草茎葉除草剤(NSH剤)においては、手刈り代用として雑草を枯らすという薬剤の性質上、栽培作物に飛散すると、激しい薬害を示す事があるため、開発、普及の段階から飛散防止対策を考慮した、飛散軽減ノズルによる少量散布法や泡(フォーム)散布などが検討されてきました。NSH剤は液剤タイプが主流のため、飛散防止カバーや飛散軽減ノズルの使用が普及し、ドリフト・リスクは全体にかなり小さいと考えられます。

日本植物防疫協会刊行「地上防除 ドリフト対策マニュアル」によれば、植物調節剤研究協会が行った生産者に対する除草剤使用アンケート調査で、風の状態を考慮して散布を行っているとの回答割合が高く、畑作・野菜作などにおいて、より注意を払っている傾向が高く、全体の7割の生産者は周辺作物への飛散や用水路などへの飛散にも注意しているようです。
そして、除草剤使用でドリフトが見られた原因として、適正な専用ノズルを使わなかった、散布時の風速が強かった、散布圧が高圧であった、散布操作が雑だった、といった散布操作の基本を怠った事が原因であったようです。

全体的には7割の農家が除草剤専用ノズルを使用しているものの、残りの3割の農家は十分な認識がないこともうかがわれていました。

下図は、我が国で使用されている散布ノズルの一般的な特徴を示しています。100ミクロン(μm)以下の散布液粒子はドリフトしやすいと考えられていますが、殺菌剤・殺虫剤散布用に使われる理由として、非常に粒子の細かいノズルが作物全体をくまなくカバーすることで殺虫・殺菌効果をより高めると考えられてきたためです。

● 散布ノズルの圧力/粒径の分布模式図

  • 散布ノズルの圧力/粒径の分布模式図

    出典:「農薬概説」2005年版

一方、NSH剤を代表する“プリグロックスL”や“タッチダウンiQ”の除草剤散布に用いられる散布ノズルは、作物への薬害防止(=飛散防止)という観点から、キリナシノズルやフォームノズルのようにあえて噴霧粒子を粗くしています。土壌表面に生えている雑草の草丈(およそひざ下30cm)めがけて散布するような場合にはそのまま利用する事が出来ます。このタイプの散布ノズルは、殺菌剤・殺虫剤のように作物茎葉への散布になると粒子が粗すぎて効果的ではない場合があるので、適度な噴霧粒径のノズルを選択することが重要です。

危被害防止の観点からも、飛散軽減ノズルや飛散防止カバーの使用利点は、飛散量が少なく、飛散距離も短くなり、結果的に散布者自身への被爆量が著しく減少し、より快適で安全な散布作業が可能となることです。

皆さんに使っていただいているプリグロックスL、タッチダウンiQの具体的な飛散防止対策は、第3回の安全講座の「■NSH剤のプリグロックスL、タッチダウンiQでもドリフト防止対策が最重要課題です」で今一度読み返してみてください。

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