病害虫・雑草防除ガイド - 害虫と病気の話
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りんご栽培の病害虫は、
黒星病と斑点落葉病の防除が中心

りんご栽培の病害虫は、黒星病と斑点落葉病の防除が中心

りんごの生産量、全国第一位を誇る青森県。栽培品種の約6割が「ふじ」で占められているため、その偏重を修正するため、早生から晩生まで多様な品種の導入が進んでいます。今月は青森県のりんご栽培の品種動向と、近年の病害虫の発生動向や薬剤の散布適期などその防除対策についてまとめました。

青森県のりんご栽培の品種動向

栽培面積急増中の「トキ」

平成23年 果実の売れ筋予想ランキング
※日本農業新聞社調査

青森における現在の品種構成は、「ふじ」、「つがる」、「王林」「ジョナゴールド」が4大品種です。このうち「ふじ」が約6割を占めていますが、その偏重を是正するため、青森県では新品種の導入・拡大が進められています。早生品種では、「つがる」に替わる品種として果皮に光沢があり、食味に優れた黄色品種の「きおう」、果汁が多く糖度のバランスのよい「さんさ」、歯触りがよくさっぱりとしていて比較的小ぶりの「未希ライフ」があります。中生品種ではジョナゴールドの代替品種の「トキ」、晩生品種では「ふじ」の代替品種で貯蔵特性に優れた黄色品種の「シナノゴールド」などの面積拡大を進めています。
なかでも、最も面積が増加しているのは、王林とふじをかけあわせた「トキ」です。平成19年から22年の4年間で改植された面積は約70haにもおよび、青森県のりんご改植全体の約20%を占めています。早ければ今後5年くらいで現在の10倍くらいの面積に増える見込みです。「トキ」は玉が大きく、トータルな品質に優れおり、反射シート、摘葉、袋かけ、着色管理が不要で栽培管理の手間が省力化できることも普及の原動力になっています。

病害防除の中心は、黒星病と斑点落葉病、害虫がモモシンクイガ

りんご栽培で問題となる病害には、黒星病、斑点落葉病、炭疽病、黒点病、輪紋病、褐斑病などがあります。その他に腐らん病やモリニア病などもありますが、収穫後から翌年6月頃までの感染が多い腐らん病は、近年では減少傾向にあります。
また、モニリア病は感染期間が4月下旬から5月下旬までと比較的短く、春先の防除をしっかりと行えば、防げる病害です。

  • 黒星病

  • 斑点落葉病

  • 黒点病

一方、害虫でいえば、モモシンクイガ、ミダレカクモンハマキ、リゴカクモンハマキ、ナシヒメシンクイ、ナミハダニ、リンゴハダニ、アブラムシ類などが問題となります。従来問題だったキンモンホソガやギンモンハモグリガは近年減少傾向にあります。

  • モモシンクイガ

  • ミダレカクモンハマキ

  • リンゴコカクモンハマキ
    終齢幼虫

平成22年、青森県では黒点病が大きな問題になっています。例年発生する地域や昨年多発した園地では、落花直後と落花15日後に「スコアMZ水和剤」を散布すると良いでしょう。また、斑点落葉病は高温多湿条件で多発するので注意が必要です。8月に有効な殺菌剤をていねいに散布するといいでしょう。さらに、7月は様々な害虫の発生量がピークを迎えます。「サイハロン水和剤」は、モモシンクイガヘも1ヶ月程度の食入防止効果が認められているので、7月上旬に散布するといいでしょう。

暖地型の輪紋病、炭疽病、褐斑病などの病害発生が増加

近年は、輪紋病、炭疽病、褐斑病など暖地型の病害発生が増加しています。輪紋病は、枝幹部に形成された「いぼ皮病」の病斑から雨によって病原菌の胞子が飛散して感染するため、病斑を削り取るのが有効な防除手段になります。6月中旬から7月下旬までの間に2~3回程度、輪紋病に効果ある有機銅材などの薬剤を散布して予防すると効果的です。炭疽病は6月中旬から8月末までが防除時期です。効果の高い薬剤を選んで散布するようにしましょう。褐斑病は、日光の当たらない枝や多湿条件で発生するので、せん定で風通しをよくすることが大切です。防除時期は6月から8月までです。

  • 年輪のように腐敗症状が
    広がる輪紋病

  • 褐斑病

  • 炭疽病

一方、害虫では、近年殺虫剤の使用を少なくしている園地を中心に、リンゴワタムシやサンホーゼカイガラムシが増加傾向にあります。また一部地域ではナシヒメシンクイの発生が増加しています。ナシヒメシンクは、落花10日後からが防除時期です。また、サンホーゼカイガラムシは越冬幼虫を対象とした発芽前のマシン油散布が効果的です。これらに関しては長野、福島など南方の産地における病害虫発生情報を取り入れながら、柔軟な対策を講じていく必要があるでしょう。

  • ナシヒメシンクイ

  • サンホーゼカイガラシ
    (ナシマルカイガラムシ)

 

シンジェンタジャパン(株)発行「りんごの病害虫ハンドブック」より転載
(写真提供元:財団法人 青森県りんご協会)

2012年7月30日掲載

※製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。

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