スギナの生態 スギナの繁殖力のカギはしぶとい地下茎にあり

病害虫・雑草コラム

スギナは畑地や果樹園で発生の多い雑草です。繁殖力が強く、防除がしにくいともいわれます。"人の暮らすところにスギナあり"ともいわれるほど、世界各地に分布しており、繁殖力と生命力が強いため、防除しにくいやっかいな雑草でもあります。スギナの生態について詳しくご紹介します。

3つの繁殖器官で増えるスギナ


なかでも増殖力が強大なのは地下茎

スギナはシダ植物に属するトクサ科の多年草で、日本全土に発生しています。まず早春、地上に胞子茎と栄養茎が表れます。この胞子茎がツクシです。ツクシに遅れて杉の葉のような形をした栄養茎が発生します。シダ植物は種はつくらず、胞子で増えるのが特徴で、スギナは胞子、根茎、塊茎の3つの繁殖器官で増えていきます。

なかでも増殖力が強大なのは、地下にある根茎や塊茎、すなわち地下茎です。根茎とは地中に伸びる茎で、垂直に伸びる茎と水平に伸びる茎とがあります。根茎は1節に切断されても、節から萌芽できる力を持っています。また根茎の増殖力は旺盛でわずか10センチ足らずの3節の根茎から7ヶ月後に10メートル以上もの根茎が作られたとの観察記録があるほどです。

【スギナ】

スギナ

 

スギナは地中に根を張り巡らせ、どんどん増えながら、あちらこちらで萌芽する

一方の塊茎とは根茎にできるこぶ状のかたまりです。いわゆるいもを指します。塊茎からはさらに根茎を伸ばしていくこともありますし、塊茎から萌芽もします。また、塊茎は根茎から離れて地中で独立し、そこから地上へと芽が伸びていきます。スギナはこうして地中に根を張り巡らせ、どんどん増えながら、あちらこちらで萌芽し、地表へと姿を現していくのです。私たちが地上で目にするスギナはまさに氷山の一角。ごく一部分でしかありません。栄養茎が4月頃から11月頃まで次々に発生し、萌芽してくるのは、地下に張り巡らされた地下茎がたくましく繁殖しているからなのです。

耕すほど深く潜り、増える地下茎


スギナの地下茎は地中ではどのように広がっているのでしょうか。ほ場と非農耕地などを堀り起こしてスギナの地下茎を調べた調査結果があります。それによると非農耕地では10cmから30cmの層にトウモロコシ畑では30cmから60cmの層に多く見られました。畑などのほ場では30cm層まで耕起されますから、根茎の多くが切断されてしまいます。そのため地上茎とのつなぎとして垂直茎が多くありますが、水平茎は少なくなっています。水平茎はほとんどが畑地ではもっと深い層に張り巡らされていました。地下茎には耕すと深く潜るという性質があると考えられます。他の地下茎を持つ植物の中でも、スギナは特に地中深く侵入し、2メートルの深さまで潜った例もあるほどです。

さらに、スギナの地下茎は耕起すると増えるという性質も持っています。耕す際に土中の根茎が切断されるとスギナは再生するため、切断されたスギナの根茎がちりばめられてしまうと、分布が拡大する可能性があるのです。スギナはしぶとくしたたかな植物だといえるでしょう。

根茎と塊茎の連携プレーがスギナのな繁殖力のカギ


根茎や塊茎が萌芽する条件

では根茎や塊茎が萌芽するのはどのような条件のときなのでしょうか。実験によれば垂直な根茎と塊茎の萌芽適温は20℃、水平な根茎は10℃という結果が出ています。ただし、これは萌芽の最適温度で、地下茎の伸長となると、5℃から35℃の間であれば根茎も塊茎もどんどん伸びていきます。35℃より高温になるとさすがに元気はなくなるものの、根茎も塊茎も休眠はせずに萌芽や伸長のチャンスを待つのです。

 

根茎と塊茎との連係プレー

スギナのしぶとさは、根茎と塊茎との連係プレーの巧みさからもうかがえます。根茎は、根茎と塊茎のどちらからも発生し、気温は25℃以下での伸長に優れています。特に塊茎から発生した根茎は伸びが旺盛です。それはいもである塊茎には養分の蓄えがされているためです。

根茎には耐性が強いという特徴があります。45℃以上高温や水分が25%損失するような乾燥状態置かれると、塊茎は弱ったり、死んだりしてしまいますが、根茎は高温に耐え、水分が65%損失するような環境でも生き残ることができるのです。スギナは不良な環境や条件に強い根茎が土中での分布を広げ、耐性は弱いものの根茎から分離されると塊茎が勢いをまして伸長することで、さらに分布を広げる力を持っている植物だといえます。耕起や温度、湿度にさらされる浅い層よりも深い層により強大な繁殖力を保っていることがスギナのしぶとさの鍵といえるでしょう。

【プリグロックスLのスギナに対する効果】

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【プリグロックスLの薬剤量(目安)スギナの場合】

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参考:シンジェンタジャパン(株)
「スギナの話。」

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