たまねぎに発生する主要害虫の特徴と防除ポイント-北海道の事例

病害虫・雑草コラム

畑作害虫の防除では、「被害予測して密度管理、農薬の適期・適部使用」が“上手な防除”と言えます。ここではたまねぎに発生する主要害虫の特長と防除ポイントを解説します。

たまねぎに発生するネギアザミウマ


特徴と生態:たまねぎのネギアザミウマ

ネギアザミウマは雌だけで増殖し、6月中旬ころから圃場に飛来して、ネギ心葉の表面浅くに卵を産みます。幼虫・成虫は葉の合わせめなど狭い陰部分にいて、表皮下の細胞を口針で突き崩して吸汁。
被害葉は銀白化し、糞が多数の小黒斑に見えます。夏季には3週間ほどで1世代を経過します。

 

ネギアザミウマによるたまねぎの被害

多発して吸汁害が激しいと、葉全体が白化し、蒸散により葉の生育は停止。倒伏期にも青立ちのままで、登熟遅れと同時に球重が低下します。

【ネギアザミウマ】

ネギアザミウマ

 

防除のポイント:残効性の長い有機リン剤の一部や合成ピレスロイド剤などを使用してみましょう!

ネギアザミウマは7月の高温によって急激に増殖するので、その直前から防除を開始しましょう。散布液のかかりにくい位置で増殖するため、各薬剤の効果(残効期間)はそれぞれ異なります。
有機リン剤の一部や合成ピレスロイド剤には、残効性の長いものがあります。圃場観察によって飛び込み時期を推定し、増殖開始期に合わせて残効性の長い薬剤を使えば、2〜3回の防除回数で足りるはずです。

たまねぎに発生するタマネギバエ


特徴と生態:たまねぎのタマネギバエ

タマネギバエはねぎ類に依存しています。ねぎ類地際部あたりの作物表面や表土に卵塊を産みつけます。
孵化幼虫(ウジ)の集団は、地中のねぎ類表面から穿入して、内部を食害。ともに蛹越冬で、タネバエにくらべると、タマネギバエでは年2世代と少なく、第1回目成虫の発生は6月上旬〜中旬とやや遅いのが特徴です。

 

タマネギバエによるたまねぎの被害

たまねぎでは6月中下旬に萎れが見られ、やがて枯死し、欠株に。成熟期のネギ類作物が食害を受けることは、ごくまれです。

【タマネギバエ】

タマネギバエ

 

防除のポイント:6月上旬前後に、残効期間の長い薬剤を多水量散布してみましょう!

飛来成虫に対する薬剤散布に卓効は期待できません。移植の場合には、殺虫剤への苗浸漬が有効とされています。また、地表部付近の孵化幼虫を狙って、6月上旬前後に残効期間の長い薬剤を多水量散布することでも、効果が期待できます。

※記事監修:鳥倉英徳(元・北海道病害虫防除所長)

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