麦・とうもろこしの主要害虫の特徴と防除ポイント-北海道の事例
畑作害虫の防除では、「被害予測して密度管理、農薬の適期・適部使用」が“上手な防除”と言えます。ここでは麦・とうもろこしに発生する主要害虫の特長と防除ポイントを解説します。
麦に発生するアブラムシ類
|特徴と生態:麦のアブラムシ類
小麦が出穂すると葉から穂を選好するようになり、登熟と共にアブラムシ数は増加。
小穂基部から吸汁して、茎葉から粒に移行中の養分を奪います。
|アブラムシ類による麦の被害
子実が細くなり、粒重・粉質も低下。被害査定では、1穂あたり平均虫数が7〜11頭(平均寄生穂率は45%)で5%程度の減収となりました。
|防除のポイント:出穂後2週目が防除適期
アブラムシはかなり集中寄生するので、「寄生穂率が3割程度を超えたら防除する」という目安が実用的です。通常の防除適期は出穂後2週目あたりで、残効性の短い薬剤の1回散布で充分と思われます。
とうもろこしに発生するアブラムシ類
|特徴と生態:とうもろこしのアブラムシ類
まず雄穂で増殖し、やがて上位葉や雌穂包皮の間に大きなコロニー(集団)が見られるように。通常はムギクビレアブラムシが多発します。
|アブラムシ類によるとうもろこし被害
生食用で出荷する場合、雌穂の包皮内面に見られる脱皮殻や生体の寄生、あるいは排泄液による汚れなどが問題とされています。
|防除のポイント:葉や穂に寄生している集団を狙って密度を下げましょう!
とうもろこしは大型でもあり、茎葉散布によって狭い寄生場所に薬剤を到達させることは困難です。現状では、葉・雄穂などに外部寄生しているコロニー(集団)を狙って、あらかじめ密度を下げておくことで対処するしかないようです。
※記事監修:鳥倉英徳(元・北海道病害虫防除所長)