地域復興に向けた、農業IT化への取り組み。

2013/09/30(月)

IT技術を駆使したいちごづくりで地域復興に貢献すべく、2011年7月に創業した株式会社GRA(以下、GRA)。栽培技術の安定化と省力化、さらには高級いちごの開発といった独自の取り組みに、多くのメディアから注目が集まっています。
具体的にどのような取り組みをされているのか、代表取締役CEOの岩佐大輝様にお伺いしました。

※写真をクリックすると大きい写真をご覧いただけます。


まずは、この山元町でIT技術を駆使したいちごづくりを始めようと思われた経緯についてお聞かせいただけますか?

  • GRAの本拠地、
    先端プロ山元研究施設
    (GRA山寺農場)

生まれ育った山元町の状況を知りたくて、震災が起きた2日後にはこの町に戻ったのですが、津波の被害は甚大でした。地域の代表的な産業だったいちご農園は、129軒のうちのほとんどが津波に飲まれてしまいました。ただ、生産者の方については、奇跡的にほとんどの方が無事でいらっしゃった。
この町の復興に貢献しようと思うのならば、長年にわたりいちごをつくり続けてこられた生産者の方々へのサポートを起点にすることが効果的なのではないかと考え、まずはツイッターでボランティアを募り、いちご栽培をお手伝いするボランティア活動から始めました。そのグループが現在のGRAの母体となっています。


農業とまったく関わりのなかった岩佐社長が、農業の世界へ入っていくのは難しかったのではないでしょうか?

この地域にはいちごづくりにおける長年のノウハウが集積されています。あらゆる圃場を訪ねて生産者の方々と対話を重ね、時には一緒に井戸掘りやハウスに再建を行い、一通り栽培工程を経験することでいちごづくりへの理解を深めていきました。
すると、いくつかの問題点も見えてきました。土壌の塩害と、重労働による負担です。
そこで僕は、日本でも徐々に一般化してきている高設養液栽培を取り入れたらどうかと考えました。高設養液栽培は土を使わず肥料を水に溶かした養液で栽培するので、土壌の影響を受けません。さらに、それを高所に設営することで腰を曲げずに作業できるようになります。2つの問題を同時に解決できる手段なのではと思ったのです。

  • GRAではいちごのほか、
    小規模ながらトマトの栽培も
    行っている

  • コンピュータ制御されたハウスで低段密植栽培されるトマト

    コンピュータ制御された
    ハウスで低段密植栽培されるトマト


高設養液栽培にIT技術も導入されたと伺いました。
どのようなきっかけだったのでしょうか?

この街の復興を中長期的に考えると、農業への間口を広げていくことが大事だと思いました。そのためには、高設溶液栽培のような省力化につながる手段は非常に重要な要素ですし、新規就農者が就農してすぐに農業のやり方がわかり、ビジネスとして展開できる仕組みづくりも必要だと感じました。
そこで、長年の優れた知見や技術を持つ生産者の方々から、ハウス内の温度、日射量、二酸化炭素量、養液供給などのノウハウを提供いただき、これらの栽培管理をコンピューターで制御できるシステムを構築しました。
就農したばかりの人からベテラン生産者まで、高品質ないちごの生産を省力化しながら安定して行うことを、強力にサポートできるわけです。しかし、病害虫防除などはまだシステム化できないため、当社でもいちごの栽培に関してはアミスター20フロアブルを苗床の炭疽病対策と、本圃のうどんこ病対策に活用し、品質と収量の安定化を図っています。
生産と出荷の安定・高品質の担保ができれば、出荷先は必ず見つかると感じています。

  • ハウスの天井に設置された、植物の生長具合などを観察する定点モニター

    ハウスの天井に設置された、
    植物の生長具合などを
    観察する定点モニター

  • 屋根の開閉や空調などは、制御盤により自動・手動を切り替えることが可能

    屋根の開閉や空調などは、
    制御盤により自動・手動を
    切り替えることが可能


今後の展開については、どのようにお考えですか?

GRAは小規模で始めて地域に根付かせ、農業生産法人等に東北へ進出していただくことで"東北に世界を代表する施設園芸の集積基地を創る"ことを目指した企業です。同時に"10年で100社10000人の雇用を創造する"ことも目標に掲げています。
農業のIT化により若者が就農しやすく、安定した収入を得られる仕組みづくりに向け、現地生産法人として農水省の「新食料供給基地建設のための先端技術展開事業※」に参画し、農水省や大手電機メーカーとともに農業の先端技術に関する研究を重ねている最中です。この研究の成果が、いつか必ず東北の復興に貢献し、日本農業のさらなる発展につながるものと信じています。


最後に農業のIT化を考えておられる方々にアドバイスをお願いいたします。

ITを導入した場合の実益として、定量的にどれだけのものを得られるかそれをシビアに計算しながら、最初はできる範囲からスタートすることが大切だと思います。
たとえば前述のコンピューター制御システムは、20aあたり約800万円の初期費用で導入することができます。農業生産法人等にとっては決して非現実的な話ではないでしょう。
就農者の拡大、収量の安定化のために、導入可能なよりよい農業のIT技術の開発は、ますます進んでいくと思いますし、ぜひ前向きにとらえていっていただけたらと思います。


※「新食料供給基地建設のための先端技術展開事業」について
http://www.maff.go.jp/j/budget/2012/pdf/b60.pdf

GRAが開発した1粒1,000円の「ミガキイチゴ」。詳しくは下記のホームページをご覧ください。
http://www.migaki-ichigo.jp

GRA公式サイト
http://www.gra-inc.jp

アミスター(R)20フロアブルの情報についてはこちら。
http://www.syngenta.co.jp/cp/items/amistar20sc/apply/

2013年09月30日掲載
 

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