低段と多段を組み合わせ、トマトの10aあたり年間収量50トンをめざす。

2014/01/31(金)

施設栽培の中でも収益性の高い作物のひとつであるトマト。10aあたりの年間収量40~50トンを実現する「低段・多段組合せ栽培」について、神奈川県の出先機関であり、最先端の農業技術の研究・開発を行う神奈川県農業技術センター 生産技術部 野菜作物研究課の保谷明江さんにお話を伺いました。

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まず、トマトの「低段・多段組合せ栽培」の開発経緯を教えてください。

日本の施設トマト養液栽培の主流は、果房段数8~20段の多段栽培ですが、高温多湿な夏期には樹勢が低下し、収量低下が避けられず、10aあたりの年間収量はオランダの半分以下の25トン程度までです。
施設トマト栽培の現場では、経営の持続的な発展に向けて、周年での安定多収技術の構築が望まれています。そこで、夏秋期には、樹勢の強い生育初期に短いサイクルでトマトの株を更新することで、安定収量が得られる果房段数3~4段の「低段密植栽培」に切り替え、夏期に収量が低下する多段栽培のデメリットをカバーし、年間で安定収量が得られる「低段・多段組合せ栽培」を開発いたしました。

  • 低段・多段組合せ収量理論モデル

    低段・多段組合せ収量理論モデル


この栽培法を導入するのに特別な機械や設備は必要になりますか。

  • 二次育苗の設置事例

    二次育苗の設置事例

基本的には2つの栽培法を適切に組合せるという技術なので、土耕栽培で栽培されている方は、新たに栽培ベッドや養液の給液設備などが必要になりますが、すでに養液栽培を手がけている方は、既存の設備を活かすことができます。一次育苗された苗を購入して、二次育苗からスタートすることを前提としており、二次育苗用ハウスがあることが理想ですが、本圃用ハウスの一部を利用すれば新設する必要はありません。


「低段・多段組合せ栽培」の方法について、具体的にお聞かせください。

基本的に、冬春期には多段栽培、夏秋期には低段密植栽培に切り替えて栽培を行いますが、栽培方法が切り替わる時期に収穫が途切れてしまわないように、複数のブロックを用意し、定植時期をずらして作付します。 定植時期が異なるそれぞれの栽培ブロックは、ハウスごとに分けたほうが管理がしやすくなりますが、同一ハウス内で栽培ブロックを分けても構いません。
12月~翌5月は30センチ株間の多段栽培で収穫、6月~11月は10センチ株間の低段密植栽培で収穫することで、通年での収穫が可能になります。

  • 多段栽培→低段密植栽培切り替え時の定植作業

    多段栽培→低段密植栽培
    切り替え時の定植作業

  • 多段栽培での生育状況

    多段栽培での生育状況


「低段・多段組合せ栽培」を導入したいという方にアドバイスをお願いします。

トマトの主要な生育段階までに要する積算温度と、季節ごとの施設内平均気温を把握し、それに基づいて育苗、定植、収穫の時期を策定し、しっかりとした年間計画を立てることが重要です。
収穫しながら育苗を行う時間が増えるので、慣行栽培とくらべて作業時間は増加しますが、私どもの試算では年間収量・農業所得が2倍程度になると見込まれています。通年で収穫や管理作業が生じることから、個人よりも、休暇のシフトが組みやすい生産法人や植物工場を運営する企業の方が導入しやすいのではないでしょうか。


トマトの病害虫防除のポイントについてお聞かせください。

一番気をつけなくてはいけないのが黄化葉巻病です。
この病気が発生すると、その株は廃棄しなければならないので収量に影響します。
害虫では、コナジラミ類の防除が重要ですね。
特にタバココナジラミは、黄化葉巻病のウイルスを媒介するので、予防防除が欠かせません。


神奈川ブランドのトマト品種を開発されたそうですね。

私どもの部署では、トマトの栽培技術研究のほかに、トマトの育種事業にも取り組んでおり、昨年、レッドとゴールド2種類の「湘南ポモロン」という中玉F1品種を神奈川県の育成品種としてデビューさせました。
長円筒形の果形を持ち、生食・加熱調理用のどちらにも適しており、レッドは旨みと酸味のバランスが良く、リコペンが豊富。ゴールドはオレンジ系の色で、あっさりした味わいを持ち、現在未同定のカロテノイドを豊富に含んでいます。今後は神奈川ブランドとして、市場に広げていきたい思います。

  • 湘南ポモロン・レッド

    湘南ポモロン・レッド

  • 湘南ポモロン・ゴールド

    湘南ポモロン・ゴールド


2014年1月31日掲載

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