日本でのGAPの取り組みの現状と課題

2014/01/31(金)

2013年11月29日、30日の2日間、宮崎県で開催されたGLOBALG.A.P.ツアー2013日本大会。
今月はそこから、日本のGAPの取組の現状と課題について、農林水産省生産局農産部技術普及課長 渡辺康正様のお話を中心に紹介します。

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全国でGAPに取り組んでいる産地は5割強

  • 農林水産省生産局 農産部技術普及課 課長 渡辺康正様

    農林水産省生産局 農産部技術普及課
    課長 渡辺康正様

農林水産省では、平成22年3月に定めた食料・農業・農村基本計画をベースに安全で安心できる食生活に向けた生産体制を整え、農産物の品質を向上させることを目指しています。
農業生産工程管理(以下GAP)に関しても「後始末より未然防止」を基本に、日本の農林水産物や食品が危害要因(ハザード)にさらされる頻度を下げ、安全性を向上させることを目指した取組として行っています。
また、販路の拡大や、海外への輸出に取り組む際には、取引先からGLOBALG.A.P.の認証を求められることが少なくありません。
たとえば熊本県の松本農園は輸出戦略を強化するために、GLOBALG.A.P.を取得し、英国や、香港や台湾などアジア圏へ生鮮農産物や農産物加工品を輸出しています。
こういった先進的な事例が見られるようになってきました。
では、どのくらいの産地で、GAPが取り入れられているのでしょう。
農林水産省の調査では平成24年3月現在で、日本の産地の半分以上がGAPに取り組んでいるという結果が出ています。
これは、野菜、米、麦、果樹、大豆の産地強化計画等を作成している4,346産地を調査したものです。
この中で2,462の産地が取り組んでいました。
取組は年を追って広がっており、平成27年度中に3,000産地にすることを目標にしています。


GAPの共通基盤となるガイドラインを策定し、産地への普及・導入を推進

現在、日本にはGLOBALG.A.P.のほかに、都道府県やJAグループ、さらには民間団体などが主体となっている様々なGAPがあります。
これらは、それぞれが基準を定めているため、レベルに差があるのが現状です。
たとえば、点検項目が50程度しかなく、その大半が農薬や肥料に関する食品安全で占められているものがある一方、点検項目が130にのぼり、食品安全だけではなく、環境の保全や、作業者の安全など多岐に渡っているGAPもあります。
様々な取組がある現状に対して、求められているのは、科学的知見、消費者や加工・流通業者、そして生産者のニーズを踏まえ、皆にメリットのある共通の基盤づくりです。
特に科学的根拠に基づいた食の安全性の向上に有効な取り組みを確立することが不可欠です。
さらに、環境保全や労働安全等の幅広い分野を対象に高度な内容を含む項目を取り入れていくことも、充実したGAPには大切であるといえます。
農林水産省では、GAPの共通基盤に関するガイドラインを平成22年に策定しました。
このガイドラインは、食品安全や環境保全、労働安全に関する法体系や諸制度を俯瞰した上で、農業生産活動において特に実践すべき取組を明確にさせたものです。
作物別に、野菜、米、 麦、 果樹、 茶、飼料作物、その他の作物(食用大豆等)、その他の作物(非食用の花等)、きのこの9項目に分け、作物独自に適用される法令指針や生産工程を踏まえ、取組事項を定めています。
このガイドラインに則したGAPは、徐々に産地に導入されており、野菜、米、麦のGAPを導入している産地、約2,000を対象に調べたところ、その3分の1にあたる620産地で導入されていました。


課題は、認知度と、GAP導入のメリットの実感

今後の課題には、GAPをより多くの人に知ってもらい、その意義を理解してもらうことが上げられます。
2013年、農林水産情報ネットワークのモニターを対象にGAPに関する意識を調べました。
その結果、GAPを「知っていた」と回答した割合は農業従事者では48.2%、「聞いたことはあるが内容は知らなかった」が26.5%で合わせても約4分の3に認知されているという結果になりました。
これが流通加工業者では6割程度、消費者ではまだ半分にも達していませんでした。
また、GAPを知っていても、「GAPに取り組むことが、何の役に立つの?」と聞かれることもよくあります。
その理由として、あえてGAPに取り組まなくても販売ができる、あるいはGAPの知識を持った指導者がいない、そして取り組むメリットが分からないといった声が多く寄せられています。
今後はこれらの課題を改善し、GAPを取り入れることの必要性とメリットを多くの人に伝えていくことも必要でしょう。
実際に、流通加工業者にGAPの取組についての取引上の参考として活用していきたいかと聞いたところ「既に取引の参考としている」と回答した流通加工業者の割合は6.7%であったものの「取引上の参考として活用する意向がある」は55.0%となっており、これらを合わせると約6割が取引上の参考として活用する意向を持っていることがわかります。
産地でGAPを導入し、原料となる農産物の生産段階での生産工程、農場の環境保全や労働状況などを改善することで食品の安全性が保たれ、結果的に品質向上や経営改善などのメリットがあります。
そして、それが競争力を持った農林水産物や食品としての強みにつながるのです。
生産者がこういったメリットを実感すると同時に、食品の安全を担保する取組として、取引先や消費者にも理解が広まるGAPのあり方を目指していきたいと考えています。


◎GLOBALG.A.P.ツアー2013日本大会報告その1
 「世界112カ国で実践されるGLOBALG.A.P.が目指すもの」


2014年1月31日掲載

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