水耕栽培への切り換えで収穫量が2倍以上に
成功の鍵は、労働力を生かした効率のよい経営

2014/07/31(木)

就農2年目で、省力、収益性が高く、周年栽培ができるサラダ菜に注目し、専業経営を始め、年間の生産量を2倍に増加させた静岡県浜松市 佐野誠さんにその秘密をお伺いしました。

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サラダ菜の栽培はいつ頃から始められたのでしょうか。

  • 浜松市の佐野誠さん。銀行員だった経歴を生かし、計画的な経営を行い、収益を順調に伸ばしている

    浜松市の佐野誠さん。
    銀行員だった経歴を生かし、
    計画的な経営を行い、
    収益を順調に伸ばしている

就農2年目の昭和53年からです。銀行員を辞め、実家を継ぐ形で就農をしたのですが、翌年、父が他界してしまいました。それまで父がメロンやセルリーを作っていましたが、まだ就農から間もなくて、技術も充分ではなかったため、労力の減少を補うためにより効率的な経営への転換をしなければと考え、他の作物に比べ収益性が高く、栽培がしやすく、周年栽培が可能なサラダ菜の専作経営に取り組んだのです。
当初は露地栽培でスタートしたのですが、天候に左右されやすく生産が不安定だったため、施設栽培に転換をしました。
浜松市近郊は気候が温暖なこともあり、年間を通して施設栽培が盛んな地域です。 サラダ菜も施設栽培に変更することで、自然環境の影響を受けにくく、より安定した収穫が年間を通して期待できると考えたのです。
最初は、50aのハウスを建て、8年後の昭和60年には100a規模まで拡大、年間4作の周年栽培体系を確立することができました。


水耕栽培を導入したきっかけを教えてください。

昭和60年に根腐病が大発生したことで、生産量が大幅に減少してしまいました。それを機にJAとぴあ浜松サラダ菜部会員と共に、病害が起こりにくく、成長も早い水耕栽培の可能性に着目したのです。
ただ、水耕栽培は施設の建設に費用が掛かるため、最初は、自分たちで栽培ベッドを作り、パイプの配管をして試験的に始めました。電気関係は元々好きでしたし、浄化槽の施工をする資格も持っていましたので、これなら充分栽培ができることがわかりました。設備投資による借入金や減価償却費等の大幅削減にもなりますので、できるところは自分の手でやろうと独自の工夫をし、改良しながら、毎年、施設を増やし、8年間で現在栽培している10カ所のハウスのすべてをサラダ菜の水耕栽培に変えることができました。

現在の経営面積は3haで約40aの露地以外は、すべて施設栽培です。
うち約3割は息子が手がけるトマトで、残りすべて私がサラダ菜の水耕栽培をしています。


露地から水耕栽培への切り換えで栽培や収益はどのように変化しましたか?

露地で栽培していた頃は年間4作でしたが、水耕栽培に切り換えてからは平均で8.5作の周年栽培ができ、生産量を倍増させることができるようになりました。
1作約1.5ヶ月で栽培していることで、収穫量も倍増し、生産量も生産効率も 飛躍的に向上しています。
サラダ菜は人手の必要な作物ですので、規模を拡大するには、労働力の確保が重要です。うちではサラダ菜は10aで1人が管理することを目安にしてます。施肥から収穫までの全作業を1人で担い、人数が増えても、高品質のサラダ菜が収穫できるように管理作業をマニュアル化しています。

1日5~6時間で働く人員を22人雇用して経営していますが、その教育や管理は妻に一任しています。おかげで、私は他の作業や日々の仕事の作業計画や経営計画の策定・管理に専念できるようになり、 より効率的な経営ができるようになりました。
現在は年間24万ケースをJAに出荷しています。 JAとぴあ浜松管内では年間100万ケースの取り扱いがあるとのことですので、約4分の1をうちが占めていることになります。
労力をつぎこめば更に回転が速くなりますので、もっと収量をあげることができると思っています。

  • 週に2回、30cm×60cmのウレタンの中に、300粒を蒔き、15度で芽だしを2週間後、それを定植する。

    週に2回、30cm×60cmの
    ウレタンの中に、300粒を蒔き、
    15度で芽だしを2週間後、
    それを定植する。

  • ハウスが並ぶ佐野さんのほ場。住居を中心に半径2km以内に9カ所、12km離れた場所に1カ所ハウスがある。

    ハウスが並ぶ佐野さんのほ場。
    住居を中心に半径2km以内に
    9カ所、12km離れた場所に
    1カ所ハウスがある。


弊社のリーフレタス新品種セテロを試作しておられるとのことですが、印象をお聞かせください。

見た目がきれいで、消費者に人気の出そうな品種だと思います。セテロは発芽率が高く、種自体の力が強いのが利点ですね。作りやすくて、生理障害「チップバーン」にも強いリーフレタスのようです。これからも期待しています。


サラダ菜のナンダ、パンソマ、JP2も栽培されておられますが、 それぞれの品種を栽培する上でどのようなことを感じましたか?

季節に合わせて、ナンダ、パンソマ、JP2を適期に栽培しています。ナンダは冬に作っていますが、病害虫の被害もそれほどなく安定した栽培がしやすい品種ですね。個体差が少なく良いものが収穫できます。
パンソマは春秋に多く作っています。葉の色、形、葉の1枚1枚がきれいで見栄えの良いサラダ菜だと思います。
JP2については、球の1つ1つのまとまりがきれいです。形がいいので、うちでは3種の中では最も多く栽培しています。時期的に最も育てにくい季節は、天気の変化が大きい梅雨時なのですが、JP2は梅雨の時期でも、トラブルが少ないため、育てやすい品種だともいえます。

  • ウレタンに定植をしたばかりのJP2。ウレタンの下に配管設備が作られている。

    ウレタンに定植をした
    ばかりのJP2。ウレタンの
    下に配管設備が
    作られている。

  • 収穫間近のJP2。ハウスの温度は15度を保つように窓を開け閉めしながら工夫されている。

    収穫間近のJP2。
    ハウスの温度は15度を保つように
    窓を開け閉めしながら
    工夫されている


様々なサラダ菜を栽培していますが、上手く作るコツなどはあるのでしょうか。

どの品種もきれいにつくるコツの1つは適期の定植ですね。
肥料の濃度によっても形は変わりますが、この辺りは生産者それぞれにやり方がありますから、そこは企業秘密です(笑)品種は晩生のほうが安定した栽培ができます。早生は問題が起きても軌道修正が効かなくなりがちなのですが、晩生種は何かあっても途中立ち止まり、考えての修正ができるため、育てやすいのでしょうね。


病害虫対策で弊社の製品もお使いなのでしょうか。

うどんこ病が出るとアミスター20フロアブルをよく使っています。去年と今年は特によく使いました。下葉にうどんこ病が出ると、かけるようにしています。害虫は冬の間、ハウスを閉め切っているときは発生しませんが、春先になるとどこからともなく、アブラムシが発生し、ハウスの窓を開け閉めするようになるとスリップス、その後ヨトウムシなどが発生します。対応としてはマッチ乳剤を使って防除しています。よく効く薬剤なので、重宝していますよ。


サラダ菜の水耕栽培を考えている生産者の方に、アドバイスやメッセージがあったらお願いします。

新規参入を考えているのならば、コスト精査をきっちりとし、利益がどのくらいになるかを十分に見極めてから取り組むと良いのではないでしょうか。また、サラダ菜はレタス市場の一部として取り扱われてしまいますので、独自路線での売り方が難しい作物です。これからは国内市場だけではなく、海外にも市場の可能性を探っていくことも大切だと思います。


◎JAとぴあ浜松の詳細はこちら
◎各種野菜、畑作物、茶の様々な病害に高い効果を発揮し、防除にも最適な「アミスター(R)20フロアブル
◎ヨトウムシなど大型りん翅目害虫を長期間抑制する「マッチ(R)乳剤


2014年7月31日掲載

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