農場を改善し、安全確保に取り組む手法、GLOBALG.A.P.を学び
世界に通用する農業を目指す

2014/12/24(水)

11月27日、28日の2日間、茨城県つくば市で、一般社団法人日本生産者GAP協会とGLOBALGAP協議会が共催する「2014年度GAPセミナー『GLOBALG.A.P.認証の学習と実践』」が開催されました。農場認証制度、GLOBALG.A.P.の認証の基本と実践を学ぶことがこのセミナーの目的です。
27日にはGAPとは何か、日本の取り組み現状、国際認証を取得することの意義、推進への施策などが紹介されました。28日には初日の内容を受け、農業のグローバリゼーションが進むなかGLOBALG.A.P.の意義や取り組みの手順、取得した団体からの報告を交えた実践的なセミナーとなりました。

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GAPは農場を改善し、安全確保に取り組む手法

農林水産省が主導して、GAPの推進をはじめたのは2005年頃のことです。
ちょうど、食品事故を防ぐためには、フードチェーン全体の安全性を見直し、生産現場からしっかりとした危機管理をする必要があるとの議論が行われていた頃でした。
その際に注目したのが、EUREP(ユーレップ)GAP、※1)現在のGLOBALG.A.P.です。ヨーロッパで普及していたEUREPGAPは、スーパーなど大型小売業者などで作る団体、EUREP(欧州小売業協会生産物部会)が策定し、加盟する企業と取り引きをする際には、EUREPGAPの認証取得が契約の必須事項となっていました。
EUREPGAPには、環境保全、労働安全と福祉、動物(家畜)福祉などの考えも盛り込まれており、日本でもこれを参考に、農林水産省が「『食品安全のためのGAP』策定・普及マニュアル(初版)」を2005年4月に、また「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」を2010年4月に発刊しています。
ところでGAPの理念や規範は安全確保の手段であって、認証制度ではありません。
農作業の生産工程でのハザード(危害要因)を分析し、それを排除するような作業内容(リスク管理)や、作業者の安全と福祉、農業に起因する環境負荷などを具体的にリストアップして実践し、それらを記録点検し、改善していく取り組みそのものがGAP規範なのです。
そして、それを世界標準の第三者認証制度によって証明していくものがGAP認証と言えます。

※1)"EUREPGAP・GLOBALG.A.P.はGLOBALGAP c/o FoodPLUS GmbHの登録商標です。


農産物の輸出に不可欠のGLOBALG.A.P.

  • 静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所の生産者石黒一信さんと、袋井市役所農政課農業振興係主事の山本紘之さん

    静岡県温室農業協同組合
    クラウンメロン支所の
    生産者石黒一信さんと、
    袋井市役所農政課
    農業振興係主事の山本紘之さん

現在、日本には都道府県やJA、民間団体が策定する様々なGAPがあり、取り組んでいる産地は2600を超えており、平成27年までに3000産地を目指しています。
その中で、GLOBALG.A.P.は、農業のグローバリゼーション(国際化)を背景に、農産物の輸出をする際の世界的なスタンダードとなりつつあります。
セミナーでは、輸出を目的に果物でのグループ認証では初めてのGLOBALG.A.P.を取得した静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所の生産者石黒一信さんと、それを支援した袋井市役所農政課農業振興係主事の山本紘之さんからの報告もありました。
取組みからわずか4ヶ月あまりでGLOBALG.A.P.を取得したことでも注目されています。
クラウンメロンは、一玉2万円といった価格で有名果物店に並ぶ最高級メロンとして知られていますが、バブル崩壊やリーマンショックを経て、出荷量が減少しています。
そのため、新たな販路としてインドネシアに市場を求め輸出に取り組もうとしたところ、必要とされたのがGLOBALG.A.P.でした。
インドネシアでは海外から農産物を輸入する際に、輸入枠を取得しなければならず、その際の添付書類の1つがGLOBALG.A.P.認証だったのです。
輸出候補先として、インドネシアの名前があがったのが2013年、輸出の仲介をするコンサルタントを通じて2013年12月に、クラウンメロン100玉をシンガポール経由でインドネシア現地バイヤーに送ったところ「これなら、インドネシアの消費者にも受け入れられる」という反応が返ってきたことで、輸出へと動き出すことが決まりました。


GLOBALG.A.P.認証取得は、スタートライン

  • クラウンメロン マスクメロンの最高峰、クラウンメロン。世界に誇れるこのメロンの本格的な輸出に関係者の期待が高まっています。

    クラウンメロン
    マスクメロンの最高峰、クラウンメロン。
    世界に誇れるこのメロンの本格的な
    輸出に関係者の期待が高まっています。

輸出が決まって、クラウンメロン支所と袋井市が最初に行ったのは、参加する生産者を集め、「そもそもGLOBALG.A.P.とは何か?」の講習会を開くことでした。
袋井市行政も、生産者も、GLOBALG.A.P.に関しての知識はなかったためです。
その後、毎月勉強会を開催し、細部のルール作りと、その徹底に力を注ぎました。
「輸出枠の獲得には11月までに認証が必要と決まっていましたから、それまでに間に合うように、皆で協力しあって、とにかくやるしかないという気持ちだけでしたよ」と、石黒さんは笑ってそう振り返ります。
幸いだったのは、施設や設備、生産体制などは、現行のものをほとんど変えずに済んだことだったそうです。
集荷場の機能や、生産指導体制、衛生管理方法等がしっかりしていたため、GLOBALG.A.P.に必要な機能を明確に文書化して、共有ルールとして徹底することに力を注ぎました。
また、GLOBALG.A.P.では認められていない人糞由来の肥料など、日本では問題のない肥料でも、GLOBALG.A.P.で認められていないものは使えませんので、これを他の有機肥料に替えて栽培をしたそうです。
「でも、それ以外のことに関してはほとんど従来の農法や体制を変える必要がありませんでした。
それは日本のクラウンメロン生産者が安全な農業生産を推進してきた証です」石黒さんはそう胸を張りました。
努力が実り、9月にはGLOBALG.A.P.の本審査を申請し、11月には合格通知を受け取りました。取組みからわずか4ヶ月あまりでの取得でした。
生産者と共に認証へ向けて取り組んできた山本さんはGLOBALG.A.P.取得までの体験を通して、「GLOBALG.A.P.認証を取得したことは、あくまでも海外輸出のスタートラインに立てたということ。
クラウンメロンの生産者が「GLOBALG.A.P.で求められることは決して特別なことではなく、当たり前にやらなければいけないこと」と生産体制の改善に取り組んだことは、日本はもちろん世界に売り込むための何よりの第一歩になったと実感しています」と話してくれました。


世界に通用する農業の実践に不可欠なGLOBALG.A.P.

FAO(国連食糧農業機関)による定義ではGAPは「農業生産の環境的、経済的及び社会的な持続性に向けた取組であり、結果として安全で品質の良い食用及び非食用の農産物をもたらすものである」とされています。
GAPの目的は農業生産の取り組み環境負荷を軽減させ、持続可能な農業を行うことであり、その結果として安全な農産物をもたらすものなのです。
安全な農産物を生産することで競争力が強化され、消費者との間に信頼関係が確立されていきます。
なかには、GAP認証を取得しても、収入増に結びつくわけではないとして、敬遠する生産者もいます。
しかし、それは間違いであるとセミナー共催団体の一つである日本生産者GAP協会理事・事務局長の田上隆多さんは話します。
「資材や薬剤を管理し、適切な農業生産を行うことで、時間やコストが削減され、余裕が生まれます。
それが結果として品質を向上させることにつながります。
GLOBALG.A.P.の認証が目指すものは、適正な農業規範に基づいた生産を行うことで、持続可能な農業生産を実現し、農場や産地が豊かになることに他なりません」また、同じく共催団体のGLOBALGAP協議会、事務局長の今瀧博文さんもこう話します、「GAPは安全確保の手段であって、認証の取得は国際基準に達したということであり、その上で生産した農産物を差別化して、高く売っていくためにはマーケティング戦略が必要で、GLOBALG.A.P.認証はその土俵に乗るためのものなのです」農業のグローバリゼーションはこれからますます進んでいきます。
世界に通用する農業を実践するためには、GLOBALG.A.P.への取り組みは不可欠になるといえるでしょう。


★静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所と、一般社団法人日本生産者GAP協会、GLOBALGAP協議会の詳しい情報は、下記のWebサイトをご覧ください。

静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所
一般社団法人日本生産者GAP協会
GLOBALGAP協議会


2014年12月24日掲載

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