メロンの現状を共有し、未来を考える
全国メロンサミットinふくろい

2015/07/31(金)

6月27日、28日の2日間、静岡県袋井市で"全国メロンサミットinふくろい"が初開催されました。
メロンの産地である14の市町村が集い、各地のメロン栽培の現状を踏まえ、情報交換をしながら、未来を考え、消費拡大につなげることが目的です。


高齢化と後継者不足が大きな課題

地元の静岡県立袋井高等学校書道部による歓迎の「書道パフォーマンス」から始まりました。
開会宣言に続き、卸売業者からの現状紹介、14の産地を代表して4つの産地からの全国メロン産地プレゼンテーションが行われました。

高級フルーツの代名詞でもあるメロン。各地で栽培が盛んになったのは1970年代のこと。
1974年と1976年の二度のオイルショックに見舞われたものの、生産量を順調に伸ばし、バブル経済絶頂期の1989年に41万5300トンを記録しています。
しかし、これをピークに年々減少を続け、2013年には16万8700トンにまで落ち込みました。
これには様々な要因がありますが、最も大きなものに生産者の高齢化や、後継者不足があげられます。
各産地からも、「生産者の数がピーク時の半数になった」「30年間では3分の1にまで減少した」といった深刻な声が寄せられました。

生産者の高齢化も加速しているため、どの産地も、今後さらに減少するだろうという見通しを持っており、若い後継者の育成が急がれることが共通の課題としてあげられました。
また、栽培上の課題として、地域の特産となっている品種の維持や、長年の栽培によって起こる連作障害への不安の声が複数の産地から寄せられていました。

たとえば夕張メロンの品種は、スパイシー・カンタローブとアールス・フェボリットという固定品種を交配させたF1品種です。
夕張市では、市が主体となって、原種アールス種、スパイシー種、さらに交配された『夕張キング』の種子の生産管理、保存を行い、生産者に必要量の供給を続けています。
また、連作障害対策として、接木台木の育成を始めとする品種改良事業、土壌分析に対する診断、施肥設計なども専門技術員を置き、行っています。

さらに、病害虫対策として、IPM技術(総合的病害虫・雑草管理)を取り入れた高知県土佐市の事例が紹介されていました。
IPM技術は一般的な農薬に加え、天敵や防虫ネット、防蛾灯など複数の防除技術を組み合わせる防御技術ですが、これをメロンにも普及させようと、天敵利用試験や防虫ネットの導入などに取り組んでいます。


高級フルーツの多様化と、消費者ニーズの変化が消費の低迷を招いた

メロンを取り巻く社会情勢にも厳しいものがあります。
1つはここ数年の原油高の煽りを受け、生産コストが高くなっている点があげられます。
メロン1個の価格の半分近くが原油代だという産地からの報告があったほどです。
では、その分、価格に反映できるかといえば、それも難しいといえるでしょう。景気の低迷やデフレ志向により、消費が低迷しているためです。

休憩をはさんだパネルディスカッション「メロンの未来が見える!」では産地代表者だけではなく、卸売業者、流通業者、そして産地の取材経験の豊富なメディアも出席し、メロン栽培だけではなく、消費の現状と課題についても活発な意見交換がされました。
かつてはお中元やお歳暮などの贈答品として人気の高かったメロンですが、最近は、マンゴーや桃、ブドウなど贈答品としての高級フルーツも多様化しています。
さらにフルーツ全体の消費が落ちている中、メロンには「食べ方が面倒」「味や食感にばらつきがある」「食べ頃がよくわからない」といった消費者からの厳しい声があることも紹介されました。
こういった現状を受け、パネルディスカッションでは、出席者からはメロンのおいしさや魅力が十分に伝わっていないことが指摘され、消費拡大へ向けたPR対策や様々な意見が出されました。

現在、各産地で一番注目されているのは、新たな加工品としての販路の拡大です。すでに各産地ではスイーツやジュース、お酒などの加工も活発です。
また、都心の高級フルーツ店では生のメロンを使用したケーキなどの人気が高く、産地とコラボレーションした新商品の開発なども始まっています。

これまでのメロンは特別な日の特別なフルーツのイメージが強くありました。
しかし、これからは価格だけではなく、味や産地、安心・安全などにこだわりのある若い世代の知的好奇心に応えるような情報や、もっと日常的に食されるためのアイディアの提供を積極的にしていくことなども提案されました。

  • パネルディスカッション「メロンの未来見える!」には、産地代表者、卸売業者、流通業者、メディアと様々な立場からの意見が活発に交わされました。

    パネルディスカッション
    「メロンの未来見える!」には、
    産地代表者、卸売業者、流通業者、
    メディアと様々な立場からの
    意見が活発に交わされました。

  • 会場の一角には各産地の情報を紹介するコーナーも設けられていました

    会場の一角には各産地の
    情報を紹介するコーナーも
    設けられていました


輸出の課題は鮮度とコスト

  • 夕張市農業協同組合営農部長 兼 経済部長木下誠さん

    夕張市農業協同組合
    営農部長 兼 経済部長
    木下誠さん

ビジネスサミットでは販路拡大の1つとして、輸出の可能性も示唆されました。
輸出に関しては、2014年、香港と台湾に本格的に輸出をした夕張市農業協同組合 営農部長兼経済部長 木下誠さんから事例報告がありました。
夕張市では2014年に香港を中心に7200玉輸出しましたが、試食だけではなく、美味しい食べ方を紹介するトークショーなどを交えて販売をしたことで、消費者の反応も上々だったといいます。
一方でいくつかの課題も見えてきたといいます。それは、鮮度とコストです。

夕張メロンは日持ちがしない品種であるため、食べ頃に輸出先の店頭に並べようとすると、現状ではコストが割高な空輸での輸出を行わなければなりません。
鮮度を保持したまま、コスト安な船便で輸出できる技術が確立されれば、リーズナブルな価格で提供することができ、より一層輸出への道が開かれる可能性は高くなります。
輸送の新たなアイディアはこれからまだまだ必要とされるでしょう。

また、アジア圏では夕張メロンのように赤い果肉のメロンになじみがないため、味の訴求や食べ方を浸透させることも課題としてあげられていました。
夕張市ではGLOBAL G.A.P. 取得に向けての準備も進んでおり、今後は、より一層輸出に向けて力を入れていく予定です。
その他にも、既にGLOBAL G.AP.を取得済みの静岡県袋井市、茨城県鉾田市も輸出へ向け意欲的に動き出しています。


メロンの未来に向かって、産地が一丸となることを採択

全国メロンinふくろいビジネスサミットは、大盛況のうちに終わりました。
最後に、メロン産地の未来のために産地が一丸となって取り組んでいくことが「メロン産地共同宣言」として採択され、閉幕しました。
サミットの後、実行委員会の1つである静岡県温室農業協同組合代表理事組合長の今村芳信さんに感想を伺いました。

「全国からいろいろな産地から多くの方が足を運んでくださり、参加してくださった皆さんに心より御礼を申し上げます。メロンは品種も多く、産地毎の様々な考え方や方針がありますが、大切なのは産地と産地がつながることにあると考えます。これからもサミットを続けることで各産地の特徴なども理解し合い、様々な視点でメロン栽培を考えていくことができるようにアイディアを発展させてきたいですね。」

  • 「メロン産地共同宣言」は、参加した14の自治体の全員一致で採択されました。

    「メロン産地共同宣言」は、
    参加した14の自治体の
    全員一致で採択されました。

  • ビジネスサミット後のレセプションでは、袋井商工会議所イメージキャラクター「どまんニャか」も登場し、会場を大いに盛り上げてくれました。

    ビジネスサミット後のレセプションでは、
    袋井商工会議所イメージ
    キャラクター「どまんニャか」も登場し、
    会場を大いに盛り上げてくれました。

  • お話をうかがった静岡県温室農業協同組合代表理事組合長の今村芳信さん

    お話をうかがった
    静岡県温室農業協同組合
    代表理事組合長の
    今村芳信さん

2016年は茨城県鉾田市での開催が決定されています。
参加者は、次年度の再会を約束して、それぞれの帰途につきました。


全国メロンサミットin ふくろいのサイトはこちら。PDFファイルにて、共同宣言もご覧いただけます。

2015年07月31日掲載

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