ドローンの自動航行による農薬散布で、作業省力化を実現

2019/8/9(金)

※一部写真はクリックすると大きい写真をご覧いただけます。

梅雨時期にもかかわらず快晴に恵まれた2019年6月25日、茨城県竜ヶ崎市の(有)横田農場において、「農業ドローンと農薬の安心・安全」の実現を目指した「DJI JAPAN/シンジェンタジャパン2019共同フィールドツアー」が開催されました。
このフィールドツアーでは、民生用ドローン世界トップシェアを誇るDJI JAPAN(株)の最新鋭ドローンを使用した複数機編隊自動航行による農薬散布の実証試験や技術紹介などを実施。
当日は100名を超える関係者が参加し、大盛況裏に終了しました。
本特集ではその模様をご紹介します。

  • フィールドツアー会場となった横田農場ライスセンター

    フィールドツアー会場となった横田農場ライスセンター


間近で見る除草剤のドローン散布に視線が集中

午前の部、午後の部ともに、説明会場でパブリックビューイングによる機体紹介が行われた後、実際の圃場でDJI JAPAN(株)スタッフによるデモフライトが実施されました。
午前の部では1.6ha区画の圃場で、午後の部は70a区画と80a区画の圃場でデモフライトを実施。
参加者の大半はドローンによる実際の農薬散布を見るのは初めてのようで、熱心に視線を送る姿が見受けられました。

自動航行モードにより、「離陸から散布、着陸まで」をオートで

デモフライトは、オペレーターによるマニュアル操作での機体制御が不要な自動航行機能を使っての実施です。
まず撮影用の小型ドローンDJI PHANTOM 4 RTKで上空から圃場を撮影し、その画像を元に地図を作成。
地図上で散布ルートを設定し、自動航行によるドローン散布が行われました。
DJI JAPAN(株)農業用ドローン推進部の岡田マネージャーは、自動航行による散布では測量が重要な理由についてこう話します。

「散布用地図を作成する場合、Google Mapなどを活用した場合と実際の圃場では誤差が生じます。その誤差が2~3mあった場合、対象圃場の外に散布してしまうようなケースが生じるので、正確な測量が重要になるわけです」。

当日は、小型ドローンPHANTOM4 RTKでの測量後、パソコンで散布ルートを設定し、DJIの農薬散布用ドローンAGRAS MG-1P RTKを使用して水稲用除草剤を散布しました。
オペレーターがコントローラーに指示を入力すると、離陸、散布、元の位置への着陸までが自動で行われ、70a区画の圃場を散布するのに7~8分しかかからず、従来の地上散布と比べると飛躍的に作業時間が短くなり省力化を実現できます。

  • DJI JAPAN(株)農業用ドローン推進部の岡田マネージャー

    DJI JAPAN(株)農業用ドローン推進部の岡田マネージャー

1回のフライトで、約10分の飛行、1haの圃場への農薬散布が可能

DJI JAPAN(株)の岡田マネージャーは、AGRAS MG-1P RTK の性能についてこう説明します。

「AGRAS MG-1P RTKの農薬積載能力は、液体で最大10ℓ、粒剤で最大10kg。
1回のフライトで、約10分の飛行、1haの圃場への農薬散布が可能です。
また、複数のバッテリーを用意すれば、より大規模な面積を処理することが可能です。
これは、手動の散粒器や動力散布機など地上での除草剤散布と比較して数十倍の散布効率と言ってもいいかもしれません。
また、プロペラが8枚あって、仮に1つのプロペラが故障しても、機体を安定飛行させられるので信頼性に優れます。ドローンを活用した農薬散布でよく耳にするトラブルは、木の枝や電柱・電線などの障害物との接触ですが、これはオペレーターの操作ミスによるものがほとんど。
AGRAS MG-1P RTKはレーダー認識システムにより、障害物を検知して自動的にブレーキがかかり、最大30m先、幅1cm以上の障害物を認識してストップがかるので、接触トラブルを回避することができます」。

  • ドローンの自動航行でより大規模な面積に対応

    ドローンの自動航行でより大規模な面積に対応

  • AGRAS MG-1P RTK の能力は1フライト1haの散布が可能

    AGRAS MG-1P RTKの能力は1フライト1haの散布が可能

大規模面積でのドローン散布に最適な水稲用除草剤とは

デモフライトで使用された薬剤は、水稲用初・中期一発処理除草剤のアクシズMX1キロ粒剤。
アクシズMX1キロ粒剤が大規模面積でのドローン散布に適している理由について、シンジェンタの水稲除草剤プロダクトマネジャーの甘利はこう言います。

「水稲で大規模面積を作付する生産者の皆さまは、田植え期間が1ヵ月、2ヵ月と長期間にわたることが多いのではないでしょうか。その場合、田植えの早い圃場はノビエなどの雑草が大きく生長し、田植えの遅かった圃場ではまだ移植後日数が十分経過していないといった状況が混在することに。無人ヘリやドローンによる一斉散布の場合、一般的な初・中期一発剤では大きな雑草を取りこぼしてしまうことがあります。
アクシズMX1キロ粒剤の最大の特長は、移植後7日からノビエ4葉期まで(移植水稲の場合。直播水稲:稲1葉期からノビエ4葉期まで)と散布適期がきわめて幅広いこと。田植え時期が異なる複数の圃場をまとめて除草することができるので、ドローンなどの無人航空機による散布に最適です」。

  • 当社アグリビジネス事業本部プロダクトマーケティング部 水稲除草剤プロダクトマネジャー 甘利

    当社アグリビジネス事業本部プロダクトマーケティング部
    水稲除草剤プロダクトマネジャー 甘利

  • アクシズMX1キロ粒剤は、散布適期がノビエ4葉期までと幅広い

    アクシズMX1キロ粒剤は、散布適期がノビエ4葉期までと幅広い

新潟の試験では、ノビエ4葉期の圃場もきれいに処理

説明会場では当実証試験の3週間前に行なった当社散布試験の結果を公開。
新潟県柏崎市の中山間地でAGRAS MG-1RTKの自動航行によりアクシズMX1キロ粒剤を散布した4.5haの圃場での除草結果が報告されました。
散布前と散布後の比較写真をご覧いただき「4葉期のノビエが多発していた圃場でも、アクシズMX1キロ粒剤の散布17日後にはきれいに雑草が抑制されている」という説明に、会場の皆さんは興味深く耳を傾けていました。

  • 新潟県柏崎市でのアクシズMX1キロ粒剤 防除効果試験結果

    新潟県柏崎市でのアクシズMX1キロ粒剤
    防除効果試験結果

世界の英知を活かし、次世代のステージへ

デモフライトの後に活発な質疑応答が行われました。その一部をここでご紹介します。

Q.(参加者)DJI JAPAN(株)とシンジェンタジャパン(株)は2019年4月に業務提携をされましたが、両社は今後、具体的にどのようなことに取り組まれる予定ですか?

A.(DJI JAPAN(株)呉社長)シンジェンタジャパンは花や野菜などの種子分野でも技術をお持ちなので、そういった分野でも今後コラボレーションした事業展開をしていきたいですね。

(シンジェンタジャパン(株)的場社長)DJI JAPAN(株)と当社はすでにグローバルレベルの領域でコラボレーションをしているので、お互いが世界で培った英知を日本の市場に活かせるようにしていきたい。
安全・安心をベースにして、次のステージを準備しているので、どうぞご期待ください。

  • DJI JAPAN (株) 呉社長

    DJI JAPAN (株) 呉社長

従来の無人航空機と比べ、より適期散布が可能なドローンを活用

Q.(参加者)横田農場様では、今後どのようにドローンを活用されますか。

A.(横田農場横田代表)以前は、請負業者に無人航空機による散布をお願いしていました。
シーズン中は業者の散布スケジュールがびっしり組まれていて、散布当日に天候の関係で中止になると、次回の散布まで日数があいてしまい散布適期が大幅に遅れてしまうことがよくありました。
しかし、ドローンであれば、自社で導入して適期散布ができます。
しかも、中古の無人航空機よりも安価で導入できるので、コスト的な意味でも手が出しやすい。
こうした資材にどれぐらいコストをかけるかをしっかり見極めたうえで、導入・運用をしていくつもりです。

  • (有)横田農場 横田修一代表取締役

    (有)横田農場 横田修一代表取締役

午後の質疑応答や意見交換の後、次回開催の約束をしてイベントは終了となりました。
DJI JAPAN(株)とシンジェンタジャパン(株)では、今後もこうしたスマート農業のコラボレーションイベントを随時開催していく予定です。
どうぞご期待ください。

  • 左より、DJI JAPAN (株)の呉社長、(有)横田農場 横田代表取締役、シンジェンタジャパン(株) 的場社長

    左より、DJI JAPAN (株)の呉社長、
    (有)横田農場 横田代表取締役、シンジェンタジャパン(株) 的場社長

  • 手土産としてお渡ししたシンジェンタジャパン(株) のニチニチソウ(ビンカ)「コーラシリーズ

    手土産としてお渡ししたシンジェンタジャパン(株) の
    ニチニチソウ(ビンカ)「コーラシリーズ」


★アクシズMX1キロ粒剤のドローン散布動画はこちら

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