「産地で聞いた!」イイ話

適材適所の多品種化を推進し、1年を通したリレー出荷を実現。

2016.11掲載


変化に富んだ雄大な地形が高品質なかんきつを育む

温州みかんの一大産地として知られるかんきつの王国・愛媛県。
そのなかで温州みかんだけに頼ることなく、独自の多品種栽培を行っているのがJAえひめ南です。
多品種栽培の理由についてや日本で初めて産地化に成功したブラッドオレンジなどについて、同JA青果部果樹専門指導員の二宮崇副主任にお話を伺いました。

現在は20種類ものかんきつを栽培されていますが、なぜそのような多品種化に取り組まれたのですか?

二宮副主任

20年ほど前までは、この地域のかんきつといえば約8割が温州みかん、残りは4大晩柑(八朔、伊予柑、ネーブル、甘夏)が主でした。
ところが温州みかんと4大晩柑の価格低迷により、農家の方々は十分な収益をあげることができなくなってしまったんです。
それから次第にデコポン、ポンカン、河内晩柑といった中晩柑類を取り入れる農家が増え、適材適所で新品種を取り入れるうちに多品種化が進みました。

適材適所とはどのような意味ですか?

二宮副主任

ここJAえひめ南の管内の地形は海あり山あり平地ありと非常に変化に富んでおり、それぞれの環境に合うかんきつもさまざまです。
たとえば山間地であれば従来通りの温州みかん。
傾斜地ならではの陽当たりの良さや小石混じりの土壌による水はけの良さは、温州みかんに欠かせません。
一方、中晩柑類は平野部でも栽培することができるので、急傾斜地での作業が難しくなった高齢の農家さんにはうってつけです。
また、この海からの照り返しは真冬の急激な気温低下を防ぎ、積算温度も十分に保ってくれます。
この海がなければ、かんきつの産地になれなかったのではと思うほどです。

生産者の収益向上のほかに、多品種化によるメリットはありますか?

中島課長

多品種化の大きな利点が、1年を通してリレー出荷できることです。
当JAでは9月の下旬から極早生温州みかんの出荷が始まり、河内晩柑の出荷が終わる6月まで、かんきつの出荷が途絶えることはありません
また、このような栽培体系は生産者の労力分散にも貢献しています。
たとえば従来であれば温州みかんの繁忙期となる10月・11月に作業が集中しましたが、温州みかんを減らしてその前後に栽培できる品種を増やせば、上手に労力を分けることができます。
生産者の都合に合わせて栽培する品種を選べることも、多品種化の大きな利点と考えています。

日本で初めてブラッドオレンジを産地化された経緯についてお聞かせいただけますか?

二宮副主任

このイタリア原産の品種を産地化できたのは、皮肉にも近年の温暖化がきっかけです。
この30年で宇和島市周辺の平均気温が約1度上昇し、イタリアの平均気温と近い環境になりました。
そこで、愛媛県が運営する『みかん研究所※』の先生がブラッドオレンジに着目され、現地視察や現場での実証を重ね、現在では2系統のブラッドオレンジを選定し栽培を行っています。
その名の由来ともなった深い赤みを出すのが難しく最初は手探りの状態でしたが、なんとか栽培方法が確立しつつあります。
このブラッドオレンジの産地化は、新品種の栽培を推進する愛媛県、町の資源として積極的にPRする宇和島市、そして熱心に栽培に取り組む生産者が一丸となって成し得たものなのです。

かんきつで問題になっている病害虫と、その対策についてお聞かせください。

二宮副主任

近年は害虫ではミカンサビダニ、病害では灰色かび病が問題になっており、それぞれマッチ乳剤とスイッチ顆粒水和剤をおすすめしています
とくに今年は干ばつの影響でミカンサビダニの発生が心配されますので、予防的に使えるマッチ乳剤は効果的なのではないでしょうか。
マッチ乳剤は5年ほど前から導入し、今でも安定した効果を見せていますので、生産者からの信頼も絶大です。

※『みかん研究所』…愛媛県の温州みかんをはじめとしたかんきつ類に関する育種・栽培研究機能を強化し、市場性の高い新品種や新しい栽培技術の開発を目的に開設された施設。

 

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殺虫剤「マッチ乳剤
殺菌剤「スイッチ顆粒水和剤

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